DXの成否で決まるデジタル社会の未来

スイスのビジネススクール:IMD(国際経営開発研究所)が毎年、調査対象63か国・地域の「経済状況(経済パフォーマンス)」、「政府の効率性」、「ビジネスの効率性」、「インフラ」をまとめたランキングを発表していて日本は34位。経済先進国としては寂しい結果となった。

日本のデジタル技術が他国と比べて遅れている理由は

・日本語という言語がマイノリティで主要言語である英語の能力が乏しい

・理系出身者がビジネスにおいて出世・昇進し辛い

ガラパゴス技術を追求し続け、グローバルな視点でのR&Dが遅延していた

など色々考えられる。

世の中でデファクトとなっているSaaSGoogleSalesForceAdobeなど米国企業がトップシェアを握っていてそのトレンドは今後も大きくは変わらない。ただこれらのSaaSの中では過剰ともいわれる機能が含まれていることもあり、多くの企業ユーザーがこれらのサービス導入に躊躇している部分もある。日本国内ではドメスティックなマーケットに対応すべく、MAツールにおいては国内企業が開発に注力し鎬を削っている。

・細かな条件を設定してポップアップメッセージを表示する「KARTE

・CVを予測して確率が高いと想定されるユーザーを識別する「アドポップ」

・カスタマージャーニーを分析してアトリビューションも最適化する「b-dash

・クッキー情報が制限された中でコンバージョンを最適化する「アドクロウト

などが代表例である。上記のサービスはまだ多言語対応されてなく、グローバリゼーションの流れに入るには若干時間を要しそうであるが、国内においてトップシェアの地位を築いた後にどのように世界進出を進めていくか注目していきたい。

 

BIツールの表層と本質

最近流行りのYellowFin,Tableau,SisenseなどのBIツールについて雑感。

年度別や顧客の居住地域・性別・年代・趣味嗜好別に区切った売上・商品評価をそれぞれ表示させても、ユーザーは画面を切り替えながらその違いをレポートするだろうか。

たとえば 
「シェアが低下してきていても、利用者の社会性や生活力が高いのであれば、それは「一部のセグメントされた顧客には評価されている商品・サービス」であり、「プロモーション手法をターゲットに合わせていく」ことを対応すれば、サービス・商品提供側には問題が無いかもしれない。

BIツールが主張するグラフやチャートの見た目の華やかさへの興味・関心は長続きしない。

一ヶ月後、三ヶ月後、一年後の評価が劇的に変化しないのであれば、ツール側は他の項目を組み合わせた「評価推移によるマーケティングのアドバイス」を提供することで、月額利用料金を支払い続ける価値を見いだせるかもしれない。

レンタルオフィスの価値

今の職場はレンタルオフィスである。

レンタルオフィスって何?”と思う人が大半かもしれない。
レンタルオフィスとは通常の賃貸オフィスを借りることではなく、
利用者に貸すために最適化されたオフィスのことを指す。

例えばレンタルオフィスには予めオフィス家具(机・椅子・照明)が揃っている。
しかも最もメリットを享受できるのは入居者による共有利用のサービスだろう。
主に高品質のレンタルオフィスには

が備わっている。
これらは毎月、毎日、相当な時間、利用しない限り、一般的な賃貸オフィスの場合、アイドリングが発生する資産になる。
共有利用のサービスにより、受付スタッフのコストといった目に見えるコストだけでなく、
会議室を探す/問い合わせる/移動するといった時間

  • 相当なスペースを必要とするOA機器のスペース
  • などをシェアすることが可能になる。

そこで節約したコストは本来の室内のスペースや新規開拓のマーケティング・セールス活動、そして新戦力となるスタッフへの雇用に活用すればよい。

”コストを節約、有効活用することでビジネスの選択肢が広がる”

良いレンタルオフィスを選ぶことで、ビジネスの選択肢の幅を広げることが可能、とも言える。

あれから3年が経ち

前回の記事アップから3年半が経過した。

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3年半-
学年の上下関係無く遊んでいた小学四年生が中学に入学、一学年の違いで先輩後輩になることの重みを知る。
同級生に想いを寄せながらも受験勉強に勤しむ高校3年の学生が大学3年生となり就職活動の時期が迫ってくる。
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そんな期間である。

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Webの世界では3年の間に何が起きただろう。

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SkypeTwitterといった便利なツールは以前から存在していたし、facebookやLinkedinといった実名での参加が前提のSNSも全く無かった訳ではない。

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目新しいエポックメイキングは無かったものの、検索エンジンの精度は確実に向上した。
例えばYahoo!は「商品名」のみで検索した際、嘗ては一個人が書き込んだブログのページを
1位に表示することはザラだったが、今はGoogleに統合され、そのGoogleが当該商品を
製造・販売している会社のWebサイトを確実に上位表示するようになった。

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ITリテラシーが高くないユーザーも目的のページに辿り着けるようなった
スパムリンクの検知・排除により、ユーザーがより積極的にWebサーフィン出来るようになった

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という点で、この3年半の進歩は大変有意義な期間であったと考えている。

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サービス提供側に求められているのは純粋な気持ちで顧客に真摯に向き合うこと。
Google性善説に基づいたアルゴリズムを構築し続けている限り、小手先のテクニックで
SEO対策を唱えてもそれはいずれ淘汰されるだろう。

そのような状況である一方で、ソーシャルゲームで散財したユーザー達が成人になり、
サービスをローンチする側に立った際、この性善説とは真逆の側に立つ可能性が高い。

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”清き一票を数多き悪貨が駆逐するのか?”

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Webの世界がリアルの世界の価値観も決めていく-そう言っても過言ではない未来がそこまで来ている。

日テレ世論調査にみる調査の難しさ

日本テレビが電話で世論調査を実施した。

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鳩山内閣の支持率は51.8%と先月比で14.5ポイント急落した。
鳩山内閣を「支持する」と答えた人は51.8%と、先月比14.5ポイント下落し、
政権発足以来初めて5割台に落ち込んだ。一方、「支持しない」と答えた人は36.2%で、
先月比18ポイント増えている。
支持しない理由については、「リーダーシップがない」が28.6%に達し、先月比20ポイント上昇した。

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と伝えている。「いかにも世の中は政治不信に溢れている」と受け止めてしまいそうだが、
調査概要
【調査日】18〜20日
【全国有権者】1058人
【回答率】55.7%
からすると「答えたくない、よく分からない、どちらでもない」という人が
44.3%もいる。彼らにあえて聞いてみるとおそらく5段階中2番目と3番目の
「やや当てはまる(支持している)」、「どちらとも言えない」が7割程度を
占められると思われる。そうすると実質的な支持率は6割強になり、不支持率は3割弱程度となる。

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政治に関する調査は「自分の思想を明らかにする」ものであり、「回答に応じる生活者は主張がハッキリしている」
ことが特徴である。そしてその多くは現状を否定、自分の考えを世の中に出そうとするものが多い。
現状に不満が無い生活者はわざわざ満足していることを調査を通じて伝えようとは思わない。

つまりこういった調査を実施する場合、両端に近い回答や否定的な意見が多くを占めやすいため、
回答率は少なくとも80%以上でないと「世の中全体を正しく反映した結果」とは言えない。

市場調査を担当、そしてメディアを通じて調査結果を伝えている身としてこういった乱用を正しつつ、
自らは正しい方法で調査を実施、真の消費者意向を伝えていき日本を正しい方向へ導く糧としていきたい。

トヨタがモータースポーツフェスティバルを開催

11/22に静岡県富士スピードウェイにて
トヨタモータースポーツフェスティバルが開催され、
約2万8000人のファンが駆け付けた。

オープニングでは豊田章男社長、山科忠専務が挨拶。
今シーズンでF1撤退を決定したことについて豊田社長が
「皆様のご期待に沿えず申し訳ありませんでした」と陳謝した。

デモ走行ではJ.トゥルーリ中嶋一貴小林可夢偉
ステアリングを握りトヨタF1のラストランを飾った。

フィナーレではエギゾーストノートで「time to say goodbye」
を演奏するなど粋なデモンストレーションを提供したトヨタ

来季、日本国内ではSUPER GTに注力していくと明言しており
そのラインナップには今季F1に参戦した二人のいずれかが
含まれるとも言われている。動向に注目したい。

ハイブリッド車・EV車”市場の今後”

【2009年:車種別販売台数(予測)】
プリウス:約20万台(1-6月実績:5.14万台)
インサイト:約12万台(1-6月実績:3.34万台)
と想定される。登録車240万台のうちこのニ車種が13.3%を占めるため、他のハイブリッド車種を追加すると15%はハイブリッド車が占めることになる。

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【3年後】
国内におけるエンドユーザーの自動車流通台数は現状250万台。
コンパクトシティ構想や公共交通機関の充実、カーシェアリングサービスの成長により今後、3年以内に200万台規模に縮小されることが予想される。
その中でエコカーは乗用車全体の4割程度を占めると考えられ80万台はエコカーと想定される。

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【10年後】
『2020年の世界販売は現在の約10倍となる1128万台』(JPモルガン証券)」という仮説を鵜呑みにするならば現状、ハイブリッド車の20%を日本市場が占めている現状から、今後、BRIC’sのシェア上昇により日本市場が占める割合が10%に低下したとしても約112万台はハイブリッド車ということになる。
日本の新車マーケットが約200万台とすると、麻生首相が打ち出した「新車の2台に1台はエコカー」の方針と符合する。
112万台の内訳は現状、ハイブリッド車:99%、EV車:1%だが、日産・三菱が家庭用電源で充電できるEV車を低価格で発売を開始したらその比率は限りなく50:50に近づくと想定される。(私見内のデータに軽自動車は含まれない)

自動車業界の現状_国内編

 日本の自動車業界の現状をまとめた。

【政府が打ち出す一連の施策】
[グリーン税制]
⇒Co2排出量や燃費基準を満たすクルマを購入する場合、車両重量税などが優遇される
[スクラップインセンティブ]
⇒登録13年以上の新車を処分してクルマを買い換えるユーザーに助成金を支給
[ETC車載機取付における助成]
⇒数千億円の補助金を捻出してETC車載器価格や取付工賃を割引、150万台が装着し終了

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上記の制度はいずれも消費者からの関心が高く、クルマ本体の魅力そのものよりも自動車利用・購入を促進する起爆剤となっている。

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調査結果

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トヨタ・ホンダ・三菱といったメーカーはHV車やEV車の開発・ローンチを発表して注目を浴びているが、当初目標である全体の20%に達するには10年以上かかる見通しである。

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【クルマの買い替えサイクル】
一昔前は新車:5年、中古車:7年だったのが今は新車:7年以上、中古車:8年以上と長期化している。
これは「可処分所得の低下」、「魅力のある車種の減少」などが要因として挙げられる。

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【アフターマーケット】
クルマ本体よりも縮小傾向がより顕著にみてとれる。
カーナビはHDDタイプよりもSDメモリカードに地図データが格納されているPNDタイプが着実にシェアを伸ばしており、自動車保険もダイレクト型の安価な商品が成長著しい。

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モータースポーツ
縮小しているも家族のレジャースポットとして可能性を見出そうとしている。
国内の最高カテゴリーであるフォーミュラ・ニッポンFポン)は今シーズン、新しいシャーシとエンジンを購入する義務が生じたこともあり、エントリーは昨年の20台超から13台にまで減少した。サーキットの観客動員数も多くない(1レース2万人程度)。
シャーシは全チーム共通、F1よりも重量があるマシンにも関わらずタイム差は1周辺り7秒落ち程度と遅くは無い。
チケットの価格はF1が平均3万円強するのに対してFポンは全席5千円程度とリーズナブル。

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ドライバーの構図は
・ベテランvs.ルーキー
・フランス人vs.日本人
と分かりやすいアングルがある。

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サーキットではレース以外のイベント、例えばバスに搭乗してサーキットを走行、バスの周りをレースマシンがスピードを加減速しながら周回するサーキットサファリなどがある。

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モータースポーツはアフターマーケット以上に景気の影響を受けやすいジャンルであり、トヨタの子会社である富士スピードウェイがF1から撤退したことは記憶に新しい。
F1日本GPは1987年から鈴鹿サーキットにて開催されていた。モータースポーツファンを虜にするレイアウトは海外の関係者からも評価が高かったが、トヨタ富士スピードウェイを買収してF1開催権をFOMに打診、2007年の日本GPはFSWFISCO)で開催された。シャトルバスの混乱でファンからの評価は高くなかったことは周知の通り。2008年にはチケットを減らしバスやスタッフを増員して評価は上々、「リベンジ」したが収支が現実的でない(約20億円の赤字といわれている)こともあり今回の撤退に至った。
鈴鹿の連続開催ディスカウントは消滅しており、来年F1日本GPが開催されない可能性も出てきた。

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手前味噌だが、ここ数ヶ月間は毎月、サーキットに足を運び消費者の目線を捉えているが彼らの目の輝きを見ていると日本の自動車業界は状況は厳しいものの、クルマに抱いていた憧れやロマンの残像が残る40代以上の消費者の多くはエポックメイキングなクルマの登場を心待ちにしているのだと感じることが出来る。今後のメーカー各社の奮闘に期待したい。

F1モナコGP2009

モナコGPは戦前の予想通り、スターティンググリッドが大きな要素を占めた。

ポールポジションのJ.バトンとレコードライン上にある3番グリッドを獲得したR.バリチェロがワンツーフィニッシュ。
2位スタートのK.ライコネンは不満を残す結果となった。

このレースでは次代のスター(にしたい)S.ベッテル、今シーズンの途中交代も噂されているN.ピケJr.、さらにはランキング最下位の中嶋一貴がクラッシュ。
新進気鋭の若武者にもパフォーマンスを出し切れていない二世ドライバーにもモンテカルロは牙を剥いた。

一方で踏みとどまったのはS.ブルデー。チームオーナーから辛辣な言葉をもらっていたにも関わらず8位入賞と結果を残した。

悲喜こもごもあったモナコGPでも最終的にはブラウンGPの圧倒的な強さとJ.バトンのタフネス、愛くるしいキャラクターを全世界に示して幕を閉じた。

次は二週間後のトルコGP。復調著しいフェラーリのF.マッサが最近3年連続でポール⇒優勝を飾っている得意コース。

伝統チームの更なる巻き返しに期待したい。

藤巻幸夫氏かく語りき

今日は楽天リサーチカンファレンス2009。
会場は品川シーサイド駅前。

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近隣にはお洒落なショッピングモールやパナソニックビルが立ち並んでいる。

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オープニングは三木谷会長の挨拶。
壁を見ると三木谷語録「打倒アマゾン」の文字が。

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森社長の楽天リサーチの商品紹介が終わると基調講演スタート。藤巻氏のスーツはオサレ。

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氏は伊勢丹、バーニーズを経て独立。
ストッキングの福助を再建させた。
また、イトーヨーカードのアパレル売場のアドバイザーとして活躍した実績がある。

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「今まで『1,980円のYシャツ』しか置いていない売場に『2,980円のYシャツ』を売るのは難しい。
それでも『6,980円のYシャツ』を一緒に置いたら売れるようになった(店舗もある)」
といった言葉は彼の実体験に基づくもの。

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彼の言うマーケティングとは現場主義。
そして日本の企業・デザイナーを重用しようというポリシー。

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アパレル商品に関するポイントとして
・色
・デザイン
・サイズ
・人
を挙げていた。

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人というのはアパレルの世界で軽視されがちに思えるが海外ブランド企業におけるスタッフ教育は充実していて日本は遅れている、という危機感を氏は抱いていた。

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また、店舗において消費者の購入意欲を喚起する施策として「VMD=Visual Merchandising(ビジュアルマーチャンダイジング)」を挙げていた。

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彼が手がけている藤巻商店(品川駅構内)をみると「顧客の立場」に立って各所に「購入意欲を喚起する仕組み」が練りこまれていることが分かる。一度、お立ち寄りを。
ttp://www.fujimakishoten.jp/ (現在はSEO業者が運営している)

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一時間の講演もあっという間に終わり。
やはりマーケティングの基本は現場。
フィールドワークを大切にしたいと改めて思った。